しっぽ確率の一般化
アクチュアリー数学の教科書には「しっぽ確率」(tail probability)というものが登場します.
しっぽ確率とは,非負確率変数に対して,のことを言います.これを使うことで,期待値を求めることが出来るんですね.こんなのアクチュアリー試験でしか使ったことありませんが…
非負確率変数に対し,次が成り立つ.
今回は,この一般化のお話です.
さっそく,一般化した主張をみていきます.
命題1
非負確率変数とに対し,次が成り立つ.
さらに,この主張にを代入すれば,期待値についての主張も得られます.
命題2
非負確率変数とに対し,次が成り立つ.
この主張を使えば,の分散や次モーメントをしっぽ確率から求めることが出来ますね.冒頭の主張は,このの特殊な場合と言えます.
命題1の証明
ただし,は指示関数である.3つ目の等号でTonelliの定理を用いた.
Tonelliの定理で必要な完備性は仮定している.
実は,この命題はDoobの不等式を証明する途中に出てきました.谷口説男先生の「確率微分方程式」の演習問題に取り上げられています.
しっぽ確率がDoobの不等式に使われているのは,なんかすごいですね!!